やさしい税務会計ニュース
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文書作成日:2023/05/30
旅行代金を前受けした場合のインボイスの交付時期

[相談]

 私は、旅行代理店を営む会社を経営しています。
 当社は、お客様からの旅行(手配旅行・パッケージツアー)予約時に、その申込金として旅行代金の一部(20%相当額)をお支払いいただいており(以下、前受金)、その際には、その前受金についての請求書をお客様にお渡ししております。
 そこでお聞きしたいのですが、令和5年(2023年)10月1日から導入される消費税のインボイス制度において、当社は、その前受金の請求書をインボイスとすることは可能なのでしょうか。教えてください。


[回答]

 ご相談の場合、前受金の請求書をインボイスとすることは可能であると考えられます。


[解説]

1.令和5年(2023年)10月1日からのインボイス交付義務の概要

 消費税法上、令和5年(2023年)10月1日からの適格請求書等保存方式(インボイス制度)導入後、適格請求書発行事業者(インボイスを発行することができる個人事業者や法人)は、国内において商品の販売やサービスの提供等を行った場合において、それらの取引の相手方である他の事業者(消費税免税事業者を除きます)から適格請求書(インボイス)の交付を求められたときは、原則として、その取引にかかるインボイスを相手方に交付しなければならないと定められています(このため、事業者でない一般消費者や、消費税免税事業者である事業者に対しては、インボイスを交付する義務がないこととなります)。

2.旅行代金を前受けした場合のインボイスの交付時期

 上記1.のとおり、インボイスは「国内において商品の販売やサービスの提供等を行った場合」に、(消費税課税事業者である)相手方からの求めに応じて交付しなければならないことと定められていますが、その交付時期については、商品の販売やサービスの提供等を行う前であっても可能とされています。

 したがって、今回のご相談の前受金の請求書を貴社のインボイスとして交付することは可能(※)であると考えられます。

(※)インボイスには、「適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号」、「税率ごとに区分した消費税額等」、「書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」などの事項を記載しなければならないと定められていますので、今回のご相談の前受金の請求書をインボイスとする場合には、前受金の請求書にそれらの事項を記載することが必要となります。
 なお、旅行業については、インボイスの記載事項のうち、「書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」と「消費税額もしくは適用税率のどちらか一方」を省略した「簡易インボイス(適格簡易請求書)」を交付することができると定められていますので、この点にもご留意ください。

[参考]
新消法57の4、70の11、国税庁軽減税率・インボイス制度対応室「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(令和5年4月改訂)」など


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